2004"12月 あなたはあなたであっていい
今月も先月11月号の続きで、ひろさちや先生のご講演内容からお話させていただきます。さて、今回は先月もお話致しました布施、愛語、利行、同事(四摂法と呼ばれる菩薩の修行法のことで布施を中心とした菩薩の慈悲行をまとめたものです)という言葉の中から特に愛語について、ひろさんがお話してくださった内容です。
愛語とは・・・
愛すべき言葉、やさしい言葉、元気づける言葉、勇気を与える言葉をかけてあげることです。
「愛語」・・・ひろさんの言葉をお借りしますと・・・
「あなたはあなたであっていいんだよ」と言う言葉になるそうです。
この言葉は会場を魔法のように包んでくました。
「あなたはあなたであっていい。」
この言葉の優しい魔法はこうでした・・・
ある地方の講演先で講演が終わると学生が一人近づいてきて先生に相談をしてきたそうです。
『私は中学、高校と学校には馴染めず引きこもりになっていた。
でも、奮起し勉強して大学に合格したが、また、大学に馴染めず引きこもっている。
どうしたらいいのだろうか?』と言うものでした。
ひろさんはこの学生に対しこう答えたそうです。
「引きこもり。素晴らしいじゃないか。折角続けてきたんだからもう少し続けてみたら」
と言ったそうです。その学生はキョトンとしてから、途端に顔が明るくなったそうです。
学生は『そんなんでいいんですか?』と尋ねると
「この娑婆(しゃば)世界はご縁の世界なんだよ」と教えてあげたそうです。
先生いわく、「みんなが同時に大学に合格することは出来ない。君が受かった代わりに
だれかが涙をのんでいるんだよ。みんなが優等生にはなれないんだ」と・・・
引きこもりから抜け出せないでいる自分を肯定されたことで
学生は何かを感じたのかも知れません。
このお話とは違いますが、私は以前、信濃毎日新聞でこんな記事を見つけました。
素晴らしい記事でしたのでご紹介させて戴きます。
見出しは”片足切断の元チアリーダー”(以下紙面参照)(右写真信濃毎日新聞より)
今年のアテネ・パラリンピックの陸上走り幅跳びに出場し9位になった
佐藤真海選手(22)のお話です。
佐藤選手は早稲田大学進学中、「テレビで見ていてかっこいい」と、チアリーダーとして活躍した。
しかし、2001年の秋に骨肉腫の為、右足を切断。
退院後大学に戻ったが、右足は足の付根からの義足、杖一本を持って出た自分の姿に
「周りは変わっていないのに自分だけ・・・」と落ち込む日が続く。
「でも、そんな自分が嫌で、抜け出すにはスポーツしかない」と
一年発起し、最初は100メートルも走れなかったが、2年後には
走り幅跳びでついには3メートルまで跳べるようになった。」
アテネオリンピックで自己ベストを出した彼女は
「アテネの風は気持ち良かった」と笑顔で答えたそうだ。
二つの話は違うけれども、それぞれの自分を受け止めて、歩むことには変わりが無く
どちらも歩んで行くのだ・・・
もし、あなたの近くに立ち止まっている人があれば
「あなたはあなたであっていいんだよ」とひろさんのように優しく言葉をかけてみてはどうでしょうか・・・
「あなたはあなたであっていい」
当山副住職合掌
※本日ご紹介の記事については信濃毎日新聞に全文掲載されています。ご確認下さい。
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